まず、「リスク(risk)」ですが、附属書SLには、共通用語としてリスクが定義されており、「不確かさの影響(effect of uncertainty)」となっています。 「不確かさの影響」は漠然としていますが、ISO31000の用語の定義では「目的に対する不確かさの影響(effect of uncertainty on object)」とされています。
「機会」の定義は附属書SLにはありません。定義が存在しない場合、オックスフォード英語辞典(Oxford Dictionary of English)の訳に従うことになっています。 Oxford訳では機会(opportunity)は「特定の状況によって何かをする、又は成し遂げることを可能にする時 (a time when a particular situation makes it possible to do or achieve something)」とあります(日本語としては「好機」により近いかもしれません)。 つまり、「リスク」と「機会」は、相対する概念ではなく、「影響(effect)」と「時(time)」という別の概念です。
したがって、「リスク及び機会への取り組み(Action to address risks and opportunities)」は、(経営上の)目的を達成する為の「不確かさの影響」に対する行動(Action)と(経営上の)目的を達成する為に好都合な「時」にすべき行動(Action)を計画として策定する、という要求事項となります。